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04 1番 原沢香司議員 令和7年3月定例会議一般質問
〇1番(原沢香司)通告に基づきまして、今回の一般質問では2点について質問をいたします。
まず、教職員の働き方についてです。これは、単に先生の労働条件について問うものではありません。設置責任者である自治体、教育委員会の責任において運営される公立学校における先生方の働き方がそのまま地域の子ども達の学ぶ権利の保障につながるからです。子ども達の学びをきちんと保障することはそのままこの町の未来に直結いたします。そのような問題意識から質問をさせていただきます。
次に、災害対策を中心に防災行政について質問いたします。昨年の元日に発生した能登半島地震は、その後に発生した水害、さらにはこの冬の大雪も重なり、人々の生活再建は先が見通せない状況になっています。地震発生から1年以上が経過してもいまだ避難所で生活をされている方もいらっしゃいます。
岩手県大船渡市南東部で発生した山火事は昨日で発生から1週間がたちましたが、いまだ鎮火されず、避難者は4,500人を超えています。これまでの一般質問でも災害対策について取り上げてきましたが、いつ、どこに、どのような形で襲いかかるのかが全く分からないのが災害です。町では防災安全課を設置して、この3月で1年がたちます。この間の取組について伺い、さらに防災行政を町民にとっての安心安全を強めるためのものとする提案も含め、質問をさせていただきます。
それでは、最初の質問に入ります。34万人を超える児童生徒が不登校、2023年の文部科学省の調査結果です。学校への不登校、行き渋りの人数が増えているという事実は当中之条町議会の一般質問や文教民生常任委員会の質疑でも度々取り上げられてきました。昨日上程された2025年度の一般会計予算でも心の相談員の増員が提案されていることも町教育委員会としてこの問題に取り組んでいることの証左だと思います。不登校の理由は各自様々であり、特定は難しいというのが教育委員会の見解であると理解しておりますし、私もそのとおりであると思います。学校へ行けない、行かない理由は児童生徒一人一人様々であり、特定の要因によって不登校になっているという分析を総括的に行うことは非常に困難であると思います。
先日テレビで不登校の児童生徒たちが通うことを目的とした公立学校の様子が紹介されておりました。学校名はくす若草小中学校、大分県玖珠町に設立された不登校の児童生徒を対象とした学びの多様化学校というもので、九州で初めてとなる公立の小中一貫校であり、文部科学省の指定を受けた義務教育学校ということです。この取組自体大変興味深いものですが、今日はその取組について詳しく取り上げることはいたしません。私が番組を見ていて、一番印象に残ったのは当事者である小学生へのインタビューでした。その児童は、小学校を不登校になり、今は玖珠町の多様化学校に通っています。以前の学校で不登校になった理由を問われると、「先生がいらいらしていたから」と答えていました。特に強く叱責されたとか自分だけが不当な扱いを受けたとかそういうことではないのです。いつも先生がいらいらしていて、その先生に会うのが嫌で登校しなくなった、そういうことでした。この児童の発言はたまたま担任の先生が怒りやすい気質の先生であったがゆえに発せられたものでしょうか。私にはそう思えませんでした。私の周りにも先生が怖いから、学校へ行きたくない、先生に話しかけてもしっかりと答えてくれないから、嫌だ、そう話す児童や生徒が複数おります。先生達に余裕がないのは、先生の個人的な性格や特質によるものでしょうか。私は、現在の学校の教職員の働き方に問題があるのではないか、そう仮説を立てて、今回の一般質問にて現状を確認したいと思いました。
まず、町立学校の教職員の残業、過密労働実態を把握しているのか伺います。具体的には勤務時間内にどれだけ翌日の授業準備の時間が取れていますか、教育長の答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)原沢香司議員のご質問にお答えします。
勤務時間内に翌日の授業準備ができているかとのご質問ですが、小学校では主に児童が下校した後の時間が授業準備に充てられる時間となります。中学校は教科担任制のため、主に授業間の空いている時間が授業準備に充てられる時間となります。教職員は、勤務時間内の限られた中で教師の専門性を生かした創意工夫をしながら授業準備や授業改善に取り組んでおります。
また、群馬県教育委員会が設置する教職員の多忙化解消に向けた協議会において、学校の業務や行事において、廃止、縮小、ICT化などの視点により毎年度提言がなされており、各学校でもできることから少しずつ取組を行っております。しかし、学校現場では学習指導要領や教育課程の変更、多忙化を解消するためのICT化などにより、新たに覚えなければならない校務や操作が増え、逆に負担が大きくなっている実態があります。
また、家庭、学校、地域などを含めた社会全体の変化と子どもや大人の意識の変化などにより、複雑かつ多様化している生徒指導上の問題や課題など、教職員には通常の業務以上に様々な対応が求められており、超過勤務が減らない要因の一つになっていると捉えております。
以上でございます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)多忙化を解消する業務のために負担が大きくなっている、様々な業務により超過勤務は減らないという答弁でした。次年度予算にICT教育への支援員を配置する予算が昨日上程されましたけれども、現場の教職員が大変であるがゆえの措置だと思います。これにより少しでも教職員の多忙が解消されることを祈るばかりです。超過勤務が減っていないということは、実際には翌日の授業準備が業務時間内にできていないということなのかどうか、これは答弁からは分かりませんでした。
次に、同じく実態把握について伺います。教職員は、勤務時間内に法定の休み時間45分を取れていますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)教員の勤務時間は1日7時間45分であるため、労働基準法の定めにより45分の休憩時間を与えなければならないとされております。休憩時間は学校ごとに決めており、例えば中之条小学校では、担任になっている教員は13時40分から14時の20分と16時10分から16時35分の25分の2回に分けた休憩時間となっております。休憩時間は決められておりますが、子ども達が学校にいる間は子ども達と一緒に活動したり、学校内に教職員が休憩できる場所がないことから、職員室の机で休憩せざるを得ず、結果的に子ども達への指導、様々な資料の作成、行事や授業の準備などを行っている様子も見られます。
以上でございます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)実際には法定の休み時間を取れていない状況であるという答弁だと理解をいたしましたが、これは教育長がおっしゃったとおり、労働基準法に定められていることですから、これが取れていないという状態は法律の違反にあたります。大変重要な事態だと受け止めております。何らかの対策を講じる必要があると思います。いずれにいたしましても教育長として現状のままではよいと思っていない、そういう答弁だと推察をいたします。しかしながら、超過勤務時間の把握にとどまっており、私が挙げた質問に直接お答えいただく答弁にはなっていないと思います。実際の状況を把握するために、教職員それぞれの現状を把握するアンケート調査が有効だと思います。ここで伺います。
労働実態を詳細に把握するために、教職員へのアンケート調査を行うべきと考えますが、実施していますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)今現在ご質問のようなアンケート調査は実施しておりませんが、群馬県教育委員会では、県内全ての県立学校及び市町村立学校に勤務する教職員の在校等時間を毎月調査しており、取りまとめた結果をホームページ上でも公開しております。
本町においても各学校の教職員の個人ごとの在校等時間が報告されるようになっており、ここから超過勤務の時間を把握しております。これにより、超過勤務の時間が月に45時間を超える教職員がいる場合には学校の管理職からその理由について報告させ、勤務の状況を把握しております。
また、文部科学省が策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインに基づき、本町においても令和元年に中之条町立学校の教育職員の労働時間の上限に関するガイドラインを策定し、超過勤務が月に80時間を超えた場合には産業医の面接による保健指導の申出を推奨することも定めております。このことから勤務の状況はおおむね把握しておりますが、ご質問の労働実態を詳細に把握するための教職員へのアンケート調査の実施につきましては、今後調査研究させていただき、必要に応じて実施を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)超過勤務の時間管理はしっかり行われており、それに基づいてガイドラインの策定など、ご尽力いただいているということでございました。しかしながら、冒頭に質問したように、実際に翌日の授業準備ができているのかという問題、これは超過勤務時間内でそれができているのか、あるいはできていないので、持ち帰って、家で準備をしているのか、これ大きな違いがあります。また、休憩事業がしっかり取れていない状況にあるということは、繰り返しになりますけれども、労働基準法に関わっております。実際には、各先生、どうなっているのか、やはり実態をリアルに把握する必要があると思います。対策を講ずる上では、町立学校の教職員の残業、過密労働実態を把握することが欠かせないと思います。超過労働の時間について把握するための努力をされていることは理解をいたしました。やはり問題はその中身にあると思います。しっかりと中身を把握せず、いたずらに時間を短くすることだけを試みても実態にはそぐわないのではないでしょうか。
教育現場では、時短ハラスメントという言葉があるそうです。校長から早く帰るようにプレッシャーをかけられるが、業務自体が減るわけではないので、結局持ち帰って残業しているという実態がこの用語を生んでいると聞きました。ぜひ実態を把握するためにアンケート調査を実施することを要望したいと思います。そうはいっても忙しい教職員の状況ですから、この後に来る春休みや夏休みなど、長期休暇中にでも簡単に答えられるような形で実施していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
引き続き、学校で働く教職員の実態について質問を続けます。現在町立学校における教職員未配置の状況はありますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)現在群馬県では、ニューノーマルGUNMA CLASSプロジェクトにより、県独自の学級編制基準が定められており、小学校1、2年では国の基準が1クラス当たり、児童数が35人であるところ30人に、中学校では全ての学年において、1クラス当たりの生徒数が40人であるところ35人としており、これに基づいて教員が配置されております。
なお、小学校3から6年生については、令和4年度から国の学級編制基準が段階的に35人以下に移行しているため、県の基準と同じになっております。
また、教職員が長期の病気休暇や育児休暇を取得する場合には臨時的任用により、補助教職員が配置されることになっておりますが、全国的には教員不足による補助教職員が未配置となっているケースもあるようです。現在本町の小中学校においても育児休暇を取得している教職員がおりますが、代替えの補助教職員が配置されており、教職員の未配置はございません。
なお、教職員の任命権は群馬県教育委員会にあります。ご承知おきいただければというふうに思います。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)答弁にありましたとおり、全国的には教職員の数が不足しており、必要な職員が配置されていない状況が慢性化されているということです。そのような状況にあり、当町の公立学校には未配置がないことを確認して安堵いたしました。
この間学校の先生にもお話を伺いましたが、働く上で一番苦慮しているのはやはり人を増やしてほしいということです。学校によっては、これは別の市町村の話ですけれども、産休、育休の代替の先生が手当てされずに、校長先生や教頭先生も授業を受け持たざるを得ない、学校運営を管理しながら現場にも立たざるを得ない実態があるということでした。答弁にもありましたが、教職員の任命権は県の教育委員会にあります。そのため、教職員の配置にはこの県教委の意向が色濃く反映されると思います。
次に伺います。当初の質問通告では補助員としましたが、具体的には県の加配制度による教職員の配置や町独自で行っている支援員の配置は十分と言える状況ですか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)教職員は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき、国の負担で配置される教職員と各都道府県独自の教育方針と負担に基づき配置される教職員で配置されております。
群馬県では、県の学級編制基準により標準の教職員の配置人数が決定し、さらに法律に基づいた国の加配制度により特配と呼ばれる教職員を加算し、各学校における問題解決や特色を生かした教育課程の実施が可能となるよう取り組んでおります。本町でも毎年各学校から要望を収集し、県に対し特配の要望を行っておりますが、国の費用負担の有無や県全体の教員数などが関係してくるため、要望する特配の全てが配置されてはおりません。このため、十分な配置がなされているとは言えませんが、最低限必要な配置は行われている状況です。
また、本町の学校では、県からの配置以外に町独自に英語学習支援員や小規模校学習支援非常勤講師、特別支援教育支援員、生活指導支援員、養護教諭補助員、学校図書兼スクールバス見守り支援員など、多くの支援員や補助員を配置していただいております。これにより、他市町村の学校以上にきめ細かい指導、支援が行われているのではないかと、こんなふうに考えております。
以上でございます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)県への要望はなかなか十分に果たされていないという答弁でした。
一方で、町独自の支援員や補助員については様々手を打っていただいている。大変ありがたいことだと思います。次年度に心の補助員を増やす、またICT教育の支援員を配置する予算が計上されております。ここに町の姿勢が表れているように思います。必要な場所にはしっかりと人を配置する、それが現場からは一番求められていることだと思いますし、そのように努力されていることに改めて感謝をいたします。なり手不足や過重労働が社会問題化しているのは何も学校現場だけではありません。しかし、教職員の働く現場である学校は、同時にその地域で育つ子ども達の教育環境や学ぶ権利を保障することに直結いたします。私は、かつて日本各地の教職員の先生達と一緒にフィンランドの小学校を訪れたことがあります。授業にも参観させてもらいましたが、4年にあたるクラスだったのですけれども、児童は13名、とても伸び伸びと学んでいました。先生にもお話を聞きましたけれども、一人一人の先生に専用の部屋が与えられて、ゆっくりとコーヒーを飲みながら次の授業の準備をしていました。担任が全ての教科を教えるわけではないので、一人一人の子ども達がどうやったら成長できるのかをしっかり考えて行動することができる、そう語られたのがとても印象的でした。一緒に行った日本の先生達は、自分達とのあまりの環境の違いに唖然としておられました。その先生達が労働組合を通して声を上げたり、保護者達からも先生達の働き方を問題視する声が広がり、長時間労働を解消するには業務量に見合った定数増と残業代支給の仕組みをつくる給特法の改正が求められています。政府は50年ぶりの給特法改正を掲げ、今般国会で議論されているのが公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法です。これで、この給特法が改定されることで事態は好転すると考えますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)教育長
〇教育長(山口暁夫)公立学校の教員に残業代を支給しないと定めた給特法は、一見教員に対して不利なようにも見えますが、歴史的経緯を見ると、教員職務の特殊性を鑑み、教員の待遇を改善するため、昭和46年に制定された法律でございます。しかし、当時の調査や状況から給与月額の4%が教職調整額と定められて以降、その後の社会変化や経済変化、教員の働き方の変化などにも関わらず、改正されてこなかったことが問題と考えられます。
国では、4%の教職調整額を令和8年から毎年1%ずつ引上げ、6年後の令和13年には10%にする改正案が検討されているようです。給特法の増額改正は、今まで適正に支払われていなかった手当が適正な金額に近づくだけのことであり、労働状態がてきめんに好転したり改善したりすることとは考えづらいと、そんなふうに思います。国は、今後の日本の教育の在り方をしっかりと検討し、教育に係る必要な予算の確保や人材の確保、人材育成を図っていって欲しいなと、そんなふうに考えております。
以上でございます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)教育長からてきめんに状況が好転したり改善することはないという答弁でございました。本当におっしゃるとおりだと思います。
今回審議されている給特法の改定は長時間労働そのものを減らすことには目を向けず、処遇改善の話にすり替えているにすぎません。さらに、教員に主務教諭という新たな階層をつくり、全体の給与は削減される、階級差をつけて競争させて、優秀だと見込まれる教員の給与を上げる仕組みを導入しようとしています。そして、その財源は全体の給与を下げて生み出すと、そういうものです。これでは本来支え合い、共に子ども達の成長を促していくべき教育現場に分断が持ち込まれることになってしまいます。今回お話を聞いたある先生からは、「かつては教職員同士が共に学び合い、助け合う環境が確かにあった。それが多忙化する中でどんどんと一人一人の先生が孤立をしている。子ども達には支え合いや協働を教える立場である自分達がこんな状況では自分の仕事に自信が持てなくなってしまう」、そういうお話でした。国は、教職員の間に分断を持ち込んでいる場合ではありません。教育長の答弁にもありましたが、教育に係る予算や人材の確保こそしっかりと行うべきです。そのためには現場の状況がどうなっているのか、やはりしっかりと教育委員会が把握する必要があります。その現状をもって、先生の数が足りないこと、給特法の改定が現場のニーズから離れていることを具体的に県や国に伝えていく、それが必要なのではないでしょうか。実態把握のためのアンケートに取り組んでいただくことを重ねて要望いたしまして、最初の質問を終わります。教育長、答弁ありがとうございました。
2つ目の質問に移ります。この質問を行う趣旨については、冒頭演台で述べましたので、早速質問をさせていただきます。災害が発生した際に、自治体として防災対策本部を速やかに設置することがその後の救援や避難所の設置などをスタートさせることに直結いたします。災害の規模にもよりますが、日本の場合は一義的に地方自治体に災害対策にあたる義務があり、町役場のような大きくない組織では役場の機能そのものを平常時の組織体制から災害対応に切り替えて当たらざるを得ません。
昨年9月に策定された中之条町地域防災計画においては、地震の際に震度6を超えると、速やかに災害対策本部を設置することが定められております。しかしながら、災害は地震だけではなく、水害、風害、雪害、火災、航空機の墜落、原子力災害、感染症の発生など、あらゆることが想定されます。地震発生以外の災害が発生した際、町の災害対策本部の設置基準は定められていますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)町長
〇町長(外丸茂樹)原沢議員の災害対策についてのご質問をいただきました。昨今の気象災害におきましては、地球温暖化の影響によりまして、線状降水帯やゲリラ豪雨、台風の大型化など、大雨災害が激しさを増しております。
原沢議員お尋ねの災害対策本部の設置基準でございますが、町内に大雨による気象警報が発令された場合や、台風が接近し、被害が発生するおそれがある場合には、まず防災安全課長を本部長とする災害警戒本部を設置し、関係部局相互の緊密な連絡調整を行います。その後、前橋地方気象台や関係各所の情報収集を行いながら、全庁的な対応が必要な場合や災害の態様、規模または社会的影響等からその対応について、町長による指揮が望ましい場合には、私の判断によりまして災害対策本部を設置し、対応を行うこととなっております。よろしくお願いします。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)災害警戒本部設置後に、町長の判断で災害対策本部を設置するとのことでした。通常の災害対応であれば、それで問題はないのだろうと思います。しかしながら、昨今の災害は文字どおり予期せぬ形で訪れます。2013年に伊豆の大島町を台風26号が襲い、死者36名、行方不明者3名の人的被害が発生しました。このときは、町長、副町長とも公務出張で不在であり、そのことで避難勧告を出すのが遅くなったことが土石流による被害を甚大化させたという痛苦の教訓があります。首長には様々な公務がありますし、出張で不在であったことは責められるべきではないと私は考えます。また、2011年の東日本大震災では、首長自身が被災し、亡くなってしまった自治体、岩手県の大槌町です。そういう自治体もありました。教訓とすべきは、町長が不在であっても適切に災害対策にあたれるように、日常的に構えをつくっていくことであると考えます。地震以外の災害が発生した際もたとえ首長が不在であっても現場責任者の判断で災害対策本部を設置できる一定の基準を設けておく必要があると考えます。災害対策本部が設置されないと、特定の部局、中之条で言えば、防災安全課ですけれども、その部局しか災害対応に従事しない、災害ボランティアセンターが設置されないというように、災害対策本部の設置に付随して動く業務が機能しなくなります。風水害などの災害発生時の災害対策本部の設置基準についても今後の検討課題としていただくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。
昨年の3月議会におきまして、定例会議におきまして課の設置条例が改定され、防災安全課が設置されました。それから1年が経つわけですが、設置時の目標に対しての達成度と課題を町長はどのように捉えていますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)町長
〇町長(外丸茂樹)防災対策につきまして、私が町長に就任以来、極めて重要な政策の柱の一つとして特に力を入れてまいりました。今原沢議員のおっしゃるように、本当に地震ばかりでなくて、もうあらゆる気象災害も含めて、雪害も含めて、本当に我々にはこの災害と付き合っていく、そういう一年が昨年はあったような気がしますし、これからもやはりそういう安心安全で暮らせるまちづくり、これを念頭に置いて、我々は地域のみなさんに接していかなければならないぞというふうに考えております。そういった観点から現在の防災安全課を設置する以前の令和5年4月に総務課内に危機管理室を設置させていただきました。
先ほど申し上げましたように、昨今の地震や気候変動による激甚災害及び地域においての防災意識の啓発や防災組織の活動など、防災行政も多岐にわたるようになりました。より専門的に防災行政に取り組んでいく必要性を強く感じたため、令和6年4月に新たに防災安全課を設置し、さらなる防災行政の強化に取り組んでまいりました。また、災害だけではなく、全国的に問題となっている倒壊空き家や防犯対策など、幅広く、安心安全なまちづくりを目標に組織編成を行わせていただきました。
防災安全課を設置し1年がたつわけでありますけれども、防災への知識や経験を有する専門職員を中心に、各地域での防災意識の啓発や防災組織の立ち上げ、訓練活動など、積極的かつ継続的に実施をしてまいりました。また、消防団とも協議を重ね、本定例会議にも条例を提案させていただいておりますが、団員の負担軽減や地域消防力の強化、これを目的に支援隊の組織化に向け、第一歩を踏み出したところでございます。防災面だけでなく、空き家や防犯対策に対しましても新たな助成制度等を新設し、多くの方にご利用いただいております。
課題ということでありますが、防災行政はこれでよいというゴールはございません。常に災害の動向や住民の要望、対応策など課題を見つける意識が大切であると考えております。そういう意味で、議員からもご指摘をいただいております女性目線に立った災害対策等も今後の課題であると認識をいたしております。よろしくお願いします。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)答弁にありましたとおり、防災安全課のみなさんが直接地域に入って、防災計画を策定したり、訓練を一緒に行ったりと、大変尽力いただいています。地域住民にとっては、やはり直接職員が出向いて、自分達の生活に対して、知恵や時間を使ってくれることの安心感、これは本当に大きいと思います。人数も少なく、空き家や防犯の対策も併せて受け持つ中で本当に大変だと思いますが、地域ごとに防災の課題も住民のニーズも様々だと思います。引き続き、地域のみなさんと直接の対話ややり取りを進めていただくことを要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
また、消防団の負担軽減に向けての取組、度々求めてまいりましたが、このたび支援隊を組織化するとのことです。これも消防団員だけでなく、地域の住民にとっての安心安全のまちづくりにつながることと思います。防犯対策なども含め、課題が多い中とは思いますが、引き続き住民の目線に立った防災行政の強化をお願いいたします。
今町長の答弁でも触れていただきましたが、防災行政には女性の目線が絶対に欠かせません。災害対策、特に避難所運営を考えるには子どもや女性、心身にハンディキャップのある方の視点が欠かせないと考えますが、どのように反映されていますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)町長
〇町長(外丸茂樹)大規模災害が発生し、実際に避難所生活を強いられ、長期化するようなことが起これば、被災された方々はかなりの精神的なストレスを抱えながらの生活となります。男性、女性、子どもや心身にハンディキャップのある方等、様々な条件の方々がいらっしゃることが予想され、特に避難所生活におきましては十分な配慮が必要となります。こういった理由から、各地で行っております避難所設営訓練では、運営に関しては必ず女性を入れていただくよう要請をいたしております。また、心身にハンディキャップのある方につきましては、一旦通常の避難所に避難をお願いし、福祉避難所の準備が整い次第、中之条地区におきましては中之条町保健センター、六合地区につきましては六合保健センターに移動していただく、そういう形となっておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)避難所設営の訓練では、必ず女性を入れていただくよう要請されているということでした。これ、地域で生活を行っていると結構ハードルが高いように感じます。というのも地域の行政区などがやはり避難所運営の主体となることが予想されると思うのですけれども、行政区の役員のみなさんほぼ男性で、高齢の方が多いです。今日は、伊参区長会のみなさん傍聴されております。私の所属する行政区におきましても、あまり詳しいことは言えないのですけれども、女性の方が区の集まりに出てきてくれるのは大体1割ぐらいという感じで、年齢を言っても私が一番若くて、その他のみなさんは大ベテランの方が多いという状況でございます。恐らく他の行政区でも実態は近いか、同じようなものがあるかと思います。そうなると、いざ災害時に、女性に運営に関わってくれとなってもなかなか難しいのが実情だと思うのです。やはり避難所設営などの緊急時の対応は日常、日頃のやり取りの延長線上にありますので、なかなか女性や若い方が自分の思うことを主張したり、意見を言ったりするのはハードルが高いように思います。そこで、ぜひ防災を担う担当部署には女性の職員を配置していただくことを検討していただきたいのです。
以前、同僚議員が一般質問でも求めたとおりですが、現状消防団組織も男性ばかりであり、その対応するにはやはり男性でないといけない、そう言われることも予想されるのですけれども、ほかの市町村では女性の消防団員がいる所も増えてきました。先ほどの町長の答弁でも女性目線に立った災害対策が今後の課題だとありました。消防団の今後の在り方を検討する上でも女性の目線は欠かすことができないものだと思います。いざ災害が発生すれば、老若男女、ハンディキャップのあるなしにかかわらず、あらゆる方が被災する可能性があります。その対策には特に女性の目線が必要になります。環境、保健分野、福祉分野との連携強化など、町長が言われるとおり、文字どおり終わりのない防災行政ですから、あらゆる角度から常に検証を行っていく必要があると思います。女性の目線をどうやって防災行政に反映させていくことができるのか、私も知恵を尽くしていきたいと思いますので、当局におかれましても議論を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次の質問です。以前の一般質問でも同僚議員からトイレつきのコンテナ導入が提言されました。その後各地で発生している災害を見てもその必要性は増すばかりであると思います。可動式のコンテナであれば、よそで災害が発生した際には支援に活用することもでき、相互援助にも役立てることができます。
国土交通省は、2025年度、令和7年度に道の駅の防災機能強化のためのトイレやシャワー機能のついたコンテナへの支援を行うとのことです。支援の対象は、道の駅の駐車場などに設置する可動式コンテナやトレーラーハウス、購入や設置工事に係る費用について、実態の場合は国が2分の1を、民間事業者の場合は国と自治体が4分の1ずつを無利子で貸し付ける、貸与額に上限は設けないということです。防災用の可動式コンテナを道の駅などの駐車場に設置すべきと考えますが、町長の見解を伺います。
〇議長(安原賢一)町長
〇町長(外丸茂樹)先ほど来ご質疑をいただいておりますけれども、本当に災害に関しては、いろいろな手だてがこれから必要になってくるだろうと思っております。昨日の補正予算でも給水車を購入するご提案をさせていただき、ご議決を賜りました、本当にありがとうございました。やはり災害等が起きれば、もちろんライフラインが寸断されるということもありますので、給水車を購入する、そういったことも災害に対しての一つの備えかなというふうに考えておりますので、それから今ご指摘いただいたことに対しましては、被災地支援として可動式のコンテナ等が多く活用されているというのは私も耳にいたしております。可動式のコンテナはクレーンで積載する搭載型や搭載型のコンテナにジャッキ等を附属した自立搭載型、コンテナハウスやトレーラーハウスなど様々であり、価格も数千万円になるものもございます。全国的にも大規模な道の駅に導入する動きがあります。安心安全な防災という点では効果的なものでありますので、今後予算もかかります。いろいろの面から多岐に検討してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)ぜひ検討をお願いいたします。
報道によれば、能登半島地震では被災地の避難所などに設置されたコンテナが仮設住宅のほか、トイレや入浴、洗濯、臨時の診療施設といった様々な用途で使用された。国交省は、平時は巡回診療の拠点や物販スペースなどとして利用し、地域の課題解決に役立てもらいたい考えだということです。平時の利用を工夫すれば、道の駅の魅力アップにつながったり、地域医療の強化にもつながることが期待されます。また、観光客が被災した際にも有効に活用できるものと思われます。一つの町ではなかなか購入は難しいということであれば、広域での導入なども検討に値するのではないかと思います。
また、先ほど町長も触れられましたけれども、昨日の議会で可決いたしました補正予算で給水車の購入に企業版クラウドファンディングの活用も検討されているということでございました。給水車同様にコンテナについてもそういったクラウドファンディングの活用も含めて、ぜひ前向きな検討をいただければと思います。よろしくお願いをいたします。
それでは、最後の質問です。先ほども触れましたが、いざ災害が起こった際に最も重要になるのが地域住民同士、そして住民と行政のコミュニティーであると思います。日常的にコミュニケーションが取れていない住民同士、コミュニケーションが取れていない住民と行政がいざ災害のときに急にコミュニケーションを取る必要に駆られても簡単にできるものではありません。やはり日常、ふだんからのやり取りが必要であると思います。地域コミュニティーと行政のさらなる関係強化をどのように図っていきますか、答弁を求めます。
〇議長(安原賢一)町長
〇町長(外丸茂樹)能登半島地震をはじめ、近年頻発している災害に備え、住民意識の向上や避難体制の強化を図るため、昨年度より各地域において避難所運営訓練、防災会の設立や自主避難計画の作成に向けて、地域の方々のご協力の下取り組んでまいりました。
防災会につきましては、現在72地区の地域で設立をされており、自主避難計画につきましては42地区で策定されております。避難所運営訓練や防災会の設立、自主避難計画策定等、地域の方々と関係強化、協力を行いながら、継続的に実施し、さらなる地域防災力の向上を図ってまいりたいと考えております。原沢議員おっしゃるように、地域のコミュニティーがだんだん、だんだん希薄になってきている、人口減少、少子高齢化というようなことでありますけれども、私、能登半島地震のニュースをちょくちょく見ている時に、被災された方が今度は後から来た被災された方々の支援に回れるのだということは、地域コミュニティーはやっぱり大切にしていく必要があるということはもう原沢議員のおっしゃるとおりだと思いますので、これからなかなか人口減少、少子高齢化の時代を迎えますけれども、地域コミュニティー、地域の絆というものは大切にしていく、これがやはり防災力を維持していく一つのもとになろうと、このように考えておりますので、ぜひこれからもいろんなお知恵を拝借しながら、地域防災力、そして安心安全なまちづくりに努めてまいりたいと、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇議長(安原賢一)1番、原沢さん
〇1番(原沢香司)ありがとうございました。繰り返し繰り返しになってしまいますけれども、この防災の取組、本当に決して終わることがない、本当に大変な課題ではあります。また、町長、先ほどおっしゃられましたとおり地域の形がどんどんと変化をしていく。本当に先が読めない状況にあります。こういう中で、本当に地域の力がすごく試されているなというのが防災のことを考える上では、先ほど同僚議員の質問でもありましたけれども、地域のみなさんにどうやって、災害が発生した時にすぐ動ける状況をつくってもらえるのか、やはりそれは本当に日常の防災意識をみんなが持っていく、本当に行政にお任せではなくて、自分達の地域を自分達で共に守っていく、行政もそこに協力してもらって、一緒に地域つくっていく、これ防災だけでなくて、本当に行政の姿勢として、町長が「共創のまちづくり」を掲げられておりますけれども、本当にこういった力がこれから試されてくる時代、さらにその試されてくる、防災もそうですけれども、いろんな力が必要になってくるなというふうに思っております。私も一議員として、力不足ではございますけれども、地域で生きるみなさんと一緒に知恵を出し合いながら、この防災の課題だけでなく、また行政のみなさんにいろいろと相談しながら、できること、提案をもしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上をもって私の質問を終わります。どうもありがとうございました。